甘酒の基礎4:甘酒の五大栄養素

甘酒は通称『飲む点滴』とも言われており、現在、その栄養価や機能性が注目されています。お米を原料にしていますが、お米と甘酒には栄養価の違いがあるのでしょうか?
甘酒の栄養価を見ていきましょう。

「栄養素」と「栄養価」は一緒?

「栄養素」とは、食べ物に含まれる体の働きに必要な物質のことです。また、「栄養価」は食物100g中に含まれる栄養素の含有量を数値化して表しています。
 
炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、これら5つの栄養素は「五大栄養素」と言われており、人間の体を構成する素材、エネルギー源、体の機能の調整など、栄養素それぞれに役割があるのです。
そして必要不可欠ではないけれど、何かしら人にとっていい働きをしている成分を「機能性物質」と言い、最近では食物繊維もその一つとされています。
 
食べ物(栄養学)の基本は五大栄養素から成り立っており、市販品の栄養成分表示の項目にはだいたい炭水化物、たんぱく質、脂質が記載されています。たまにビタミン類、ミネラルまで詳細に書かれている場合があります。

 

甘酒とお米の栄養価の違い

甘酒とお米の一般成分の違い

では、甘酒とお米の栄養価の違いを見ていきましょう。

御飯(お粥)と甘酒の栄養成分の比較お米と甘酒の水分量を統一し固形分の比較すると、お米も甘酒の栄養価に大きな差は見られません。さらにはエネルギーもほぼ同じです。

栄養価に差があまりないのに、なぜ甘酒はあんなに甘くて美味しいのでしょうか?

それは、甘酒は発酵の過程で炭水化物やたんぱく質、脂質が麹菌の酵素によって消化分解され、サイズが小さくなっているからです。つまり、でんぷんやたんぱく質が糖やアミノ酸に変わっているため甘く美味しく感じるのです。

さらに甘酒はすでに消化されているので、食べた時に消化する必要がなく、腸管から吸収されやすいというメリットがあります。

 

甘酒に多いビタミンB群に着目すると…

甘酒を作るときにお米を麹菌で麹にすると、ビタミンB群造られます。このビタミンB群が優れものなのです!

ビタミンB群は主に炭水化物やたんぱく質、脂質を細胞内でエネルギーに変換したり、アミノ酸代謝に大きく作用して体を構成する素材の供給を助けたりします。
直接体のエネルギー源になるわけではないので軽視されがちですが、このビタミンB群のサポート力は私たちの体を作る上で大事な役割を担っています。

甘酒のビタミンB群はお米に比べて3~4倍葉酸に至っては14倍にもなっています!
葉酸は造血作用や胎児の先天異常予防する働きがあるので、妊娠中の女性にとって欠かせない栄養素です。

栄養価は同じでも、甘酒はエネルギー源や体の材料である栄養素が分解されていて吸収されやすいこと、炭水化物やたんぱく質、脂質をの代謝を補助するビタミンB群が多いことなど良いところがたくさんあります。

最後に

『飲む点滴』と言われていたのは、甘酒は消化吸収に優れているのでより体への負担が少なく栄養素を摂取できるからなのですね。熱中症や夏バテ予防の為に江戸時代から飲まれていたのも頷けます。
 
今回は、基本的な栄養素『五大栄養素』の話を中心に甘酒の栄養価についてお話しました。
次回は『機能性物質』に着目した話をしていきますね。